ロシア革命アニメーション MEMORANDUM BY JOAN BORSTEN, PRODUCER OF ANIMATION ANTHOLOGY
※Joan Borsten:「チェブラーシカ」など旧ソ連時代の名作の数々の世界配給を手がけたアメリカの会社 Film by Jove の代表。
私が初めてこれらプロパガンダ・アニメに出会ったのは1995年、私たちが旧ソ連最大のアニメ・スタジオ、ソユズムリトフィルムのライブラリーの世界販売権を入手してから3年目のことだ。スタジオの有する子供向けの名作クラシックアニメやアートアニメーションなどに混じって、明らかに異質なジャンルのフィルム数十本を発見したのだ。反資本主義、反帝国主義、反米、反英、反独、反日映画の数々、これらはただソヴィエト政権に都合のよい歴史認識のみを堂々と喧伝していた。スタジオの大半のアニメが暴力とは無縁な内容を特徴としていたのに、こちらのアニメには銃、戦車、戦争そして破壊のイメージが満ち溢れていた。
ユーリー・ノルシュテインの処女作「25日・最初の日」(1968)が私の目を、ソ連時代のアニメーションとロシア・アヴァンギャルドそして革命直後の芸術家との繋がりに目を向けさせてくれた。20年代そして30年代初頭、ボルシェビキ革命の熱もまだ覚めやらぬ頃に制作されたプロパガンダ・アニメを私は探索し、そして(断片だけしか残っていないケースもしばしばだったが)フィルムのコピーを発見していった。旧ソ連時代の古びたフィルム倉庫の埃のたまった片隅から拾い上げられたフィルム素材はどれも朽ちるに任せられていた。画面は退色し音はひずんでいた。いくつかのオリジナルサウンドトラックは完全に失われていた。
こうして発掘した35ミリプリントのうちいくつかはハリウッドのスタジオに持ち込んでデジタル変換を行ったが、殆どのフィルム変換作業はロシアで行われた。私たちは最大限の努力を傾注して映像と音声を修復した。20年代に制作されたサイレント・フィルムには新たに音楽を付けたが、その際には極力シンプルなピアノ伴奏を用いるようにした。
こうして新たに日の目をみた古いアニメーションに、ソユズムリトフィルムのショート・アニメを加えて編成されたこのアンソロジーはソヴィエトの歴史をなぞるだけではなく、ソヴィエト・アニメの芸術的な発展の歴史をも俯瞰するものとなった。このアンソロジーによって、世界の芸術家やヴィジュアル・アート・ファンが看過することのできない貴重なソ連時代のアニメーションを次の世代に伝えることが出来れば幸せである。全体主義や冷戦下の時代に埋もれてしまったロシアのアーティストたちの業績を忘れ去られたままにしておくことは出来ない。
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